美容整形と聞くとタレントさんの噂や失敗話などありますが、「美容外科」「美容皮膚科」との違いをご存知でしょうか? 皮膚の病気治療も整形なの? 手術はする場合はどんなケース? 保険はきくの? など、みなさんが思い浮かべる整形・皮膚科にまつわる疑問を解決! 美容・美肌に関する医療機関の違いをわかりやすく説明します。
解説:HPCひまわり美容クリニック院長 後藤瞳
「美容整形」と「美容皮膚科」の違い

後藤:美容・美肌に関する医療機関は、大きく「美容外科」「美容皮膚科」の2つに分類できます。「美容整形」は、診療科の名称ではありません。だから、「美容整形」と「美容皮膚科」を比較して説明することはできないんです。簡単に説明するなら「美容外科や美容皮膚科は、美容整形も行える医療機関」といったところでしょうか。
「美容外科・美容皮膚科」と「一般皮膚科」
後藤: まずは、イメージしやすい「美容外科・美容皮膚科」と「一般皮膚科」の違いから紹介しましょう。簡単にいえば、病気の治療を行うのが「一般皮膚科」です。一方、美容外科や美容皮膚科は、病気にかかっている方ではなく、現状よりキレイを目指したい! という方が対象です。
美容外科・美容皮膚科 | 一般皮膚科 | |
---|---|---|
対象 | 現状よりもキレイになりたい人 | 皮膚病や皮膚疾患を治したい人 |
具体例 | 顔治療、たるみ治療、二重整形、脂肪吸引、美肌治療 | 湿疹、水虫、いぼ、かぶれ |
料金 | 自費診療が中心 | 保険診療が中心 |
症状によっては、美容皮膚科・一般皮膚科のどちらでも対応していることがあります。ニキビ治療がその代表的な例ですね。一般皮膚科では、塗り薬・飲み薬などを保険診療の範囲内で処方してもらえます。美容皮膚科では、主に保険認定されていない治療(レーザー、光治療など)でニキビを治療します。
ニキビに関しては、レーザーなどの治療は自費診療になります。保険適応のある疾患(扁平母斑や異所性蒙古斑など)は、回数に制限はありますが保険でレーザーを受けることも可能です。でも、保険医療機関(保険医療を行う機関)のクリニックでなければ、治療はすべて自費となります。美容クリニックは保険医療機関でないことが多いですが、保険医療機関である場合もあるので、受診の際に確認した方がいいかもしれませんね。
「美容外科」と「美容皮膚科」
後藤: おおまかにいえば、外科が「美容外科」で、内科が「美容皮膚科」みたいなイメージです。切ったり縫ったりする手術を行うのは「美容外科」。二重整形や、脂肪吸引、ワキガの手術などをイメージしてもらえばわかりやすいでしょうか。
「美容皮膚科」は、自身の限界内でキレイを目指す治療が中心です。ヒアルロン酸やボトックスなどの注入治療や光・レーザー治療、ピーリングなどを行います。肌質改善など、美肌を目指すことに関しては専門といえます。ここが、美容外科との一番の違いです。
美容外科 | 美容皮膚科 | |
---|---|---|
概要 | 美容目的の外科手術を行う | 美容目的の治療や施術を行う |
具体例 | 小顔手術(骨切り) たるみ治療(フェイスリフト、脱脂術) 二重整形、脂肪吸引 | 小顔治療(RF治療) たるみ治療(ヒアルロン酸注入、HIFU) 美肌治療(ピーリング) |
料金 | 自費診療が中心 | 自費診療が中心 |
ダウンタイム | 長め | 短め |
たとえば、同じたるみ治療でも、美容外科では皮膚を切って引き上げます。美容皮膚科の場合、ヒアルロン酸を注入したり、「HIFU(ハイフ)」で皮膚の奥(SMAS筋膜層)に熱を加えて内側から引き締めたりします。大きく手を加えるわけではないので、いびつになることがあまりないのはメリットですね。
美容外科はダイナミックに変化が現われる分、一度手術をしたら戻せないというデメリットが。「手術が怖い」という方には、まず美容皮膚科をおすすめします。手術への拒否感がない方、「とにかくわかりやすい変化がほしい!」という方は、いきなり美容外科からスタートしてもいいかもしれません。
プチ整形は「美容外科」と「美容皮膚科」のどっち?
後藤: 「プチ整形」という言葉の定義は時代によって変化するので、一概には言えませんが…「メスを使わない美容整形」を指すなら、基本的に「美容皮膚科」ですね。ただ、二重術なども最近はプチ整形と呼んだりするので、“どっち”とは言い難いです。
年々「プチ整形」自体のハードルが下がってきているなと感じます。昔はヒアルロン酸を注入するだけで「整形だ!」と思われましたが、最近ではプチ整形とすら言われなくなってきましたね。
そもそもヒアルロン酸注入って、1本入れたとしてもたった1ccの量。それを一カ所にというわけではなく、顔全体に少しずつ注入したり…。最近は0.1ccずつ入れてリフトアップさせる打ち方もあります。それが周知されてきて、整形という印象が薄くなってきたのだと思います。

「美容外科」に比べると、「美容皮膚科」はエステ感覚で通っている患者さまも多いです。とはいえ、美容皮膚科にはエステサロンとは違い、国家資格を取得した“美容のエキスパート”の医師や看護師がいますので、医学的観点に基づいたアドバイスを受けられますよ。
まとめ
後藤: 「美容外科」「美容用皮膚科」「一般皮膚科」の違いを、表で整理してみました。
美容外科 | 美容皮膚科 | 一般皮膚科 | |
---|---|---|---|
対象 | 現状よりもキレイになりたい人 | 現状よりもキレイになりたい人 | 膚病や皮膚疾患を治したい人 |
具体例 | 小顔手術(骨切り) たるみ治療(フェイスリフト、脱脂術) 二重整形、脂肪吸引 | 小顔治療(RF治療) たるみ治療(ヒアルロン酸注入、HIFU) 美肌治療(ピーリング) | 湿疹、水虫、いぼ、かぶれ |
料金 | 自費診療が中心 | 自費診療が中心 | 保険診療が中心 |
ダウンタイム | 長め | 短め | ― |
美肌治療 | △ | ◎ | △ |
美容皮膚科・一般皮膚科の両方で処置を受けられるニキビ治療のように、一概には言えないケースもあるので、上表はあくまでも参考程度にご覧ください。
美容皮膚科はこんな人にオススメ!
美容目的で医療機関の受診を考えている場合、「美容外科」と「美容皮膚科」で迷われる方も多いかと思います。下記に当てはまる方は、美容皮膚科の受診がオススメです。
- 自分の限界を超えない範囲でキレイになりたい
- 美肌になりたい、肌質を改善したい
- 美容整形をしたいけど、切ったり縫ったり手術するのは怖い
ご自身の希望にあわせた治療を選択してください。
監修:HPCひまわり美容クリニック院長 後藤瞳