年齢を重ねるにつれて、大きくなったり膨らんできたりと目立つようになる「ほくろ」。悪性でなければ、無理に除去する必要はありません。といっても、顔などに現れると、鏡を見るたび、つい気にしてしまいますよね。今回は、「レーザー治療」と「切開手術」でほくろを消す方法について説明します。

解説:HPCひまわり美容クリニック院長 後藤瞳
どうして「ほくろ」はできるの?
後藤:そもそもほくろとは、メラニンを作る細胞(母斑細胞)が増えてできる良性腫瘍です。医学用語では「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」といいます。
「ほくろを除去したのに再発した」という話を聞いたことがあるかもしれません。それは、皮膚の奥……「真皮」の中に母斑細胞が存在していることが理由です。そのため、ほくろを消したとしても、細胞が残っていればまた出現する可能性があります。
ほくろの除去方法は、大きく分けると「レーザー治療」と「切開手術」の2通りがあります。それぞれ、どうやってほくろを消すのか見ていきましょう。
レーザー治療の場合:細胞ごとレーザーで焼いて消す!
後藤:ほくろ除去のレーザー治療では、主に炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)の「AcuPulse(アキュパルス)」を使用します。10,600nm(ナノメートル)の波長のレーザーをほくろに照射。炭酸ガスレーザーは水分に吸収される波長の光なので、皮膚に含まれる水分に反応し、照射部分の組織が蒸散され(焼かれ)ます。その結果、ほくろの組織も除去されるのです。
ただ、母斑細胞が真皮深くまで存在しているケースも多いです。そのため、レーザー治療では複数回治療が必要となるケースが一般的。というのも、一気に深くまでレーザーで削ると、凹んだ状態で傷痕が残ってしまうこともあるからです。
切開手術の場合:メスで皮膚を切って切除
後藤:切開手術の場合は、ほくろ部分を切って除去し、糸で縫合します。切り取った後は皮膚を縫い合わせるので、首や腕など皮膚に余裕がある部分にできたほくろの切除に向いています。一方、鼻のように縫い合わせるための余剰皮膚が少ない部位では、なかなか難しいですね。
施術箇所は基本的に数年でなじみますが、切開の傷が残ります。凹んだ傷というよりは、切った部分が線として残るケースが多いです。
ほくろ除去の方法を選べないことも?
後藤:急速に増大したり、5㎜以上だったり……見た目から悪性の可能性が否定できないケースでは、手術による切開切除一択です。
また、大きいほくろの場合は、良性であってもレーザー治療では回数がかかり、傷痕も残りやすいので、初めから切除をおすすめすることもあります。
後半では、炭酸ガスレーザー「アキュパルス」でほくろを除去する仕組みについて、さらに詳しく解説! 完全に消えるまでどのくらい時間がかかるのか? 麻酔は必要なのか? 再治療の間隔はどれくらい開けるのか? など、施術の流れについて具体的に説明します。
監修:HPCひまわり美容クリニック院長 後藤瞳